ミシンや車は動く時に音を発する。時には力強く。時には異音を発する。音の変化に耳を傾けるセンスを養うことが機械いじりのスタートなのだ。アナログな方法だが、決して侮ってはいけない。
工業用ミシンの発する音は、リズムとメロディーだ。
当然だが、同じものを縫う時は、同じリズムになり、同じ音がする。調子が出ると、まるでメロディの様に聞こえる。
ある時、異音を発する。ミシン針がどこかに当たったか。その後、バランスの崩れた音となる。不快な音だ。その瞬間、針目や糸の調子が崩れ、上手く縫えなくなる。
古いNIMIはスターターをかけた瞬間、今日の調子が分かる。
力強く一発で掛かるエンジン。今日は調子が良い。寒暖差、気温に大きく左右されるのだ。厄介な相棒だが、心を配るとそれなりに答えてくれる。アイドリングの安定感を耳を澄まして聞き入る。
エンジンが熱を帯びると、空冷ファンが回り出す。古いMINI特有のクセだが、マシン自体が、何か訴えている感じなのだ。
機械を扱う時、音に敏感になり、耳を澄ます必要がある。それは機械と相棒になる事。
機械とは面白いものだ。好調な時は、調子良い音がする。不調な時は、かならず何かを訴える。この感覚を侮ってはいけない。
機械に関心を示すと裏切られることは無い。ただし、常に関心を示さないと、時々訴えて来る。「手入れしろ!」と機械とは面白いものだ。