Think Memo No.290 ショルダーストラップは重要なパーツ。ノウハウの結晶。

バックパックの命、ショルダーストラップ。バックパックメーカーはここに全力を注入するのだ。
このパーツの完成度でバックパックの背負い心地が決まる。

ベトナム工場に滞在し、自らショルダーストラップを試作する著名クライマー。

数年前、ベトナム工場で一新不乱にショルダーストラップを作るフランス人を見た。
工場パートナーに聞くと、彼は現役を引退した著名なクライマーとの事。

自ら、型紙を作り、試行錯誤して、新しいショルダーストラップの仕組みを作っている。
既に、一週間篭っているらしいが、現場の人間は嫌がっていた。

ショルダーストラップ開発にルールは無い。感性の世界だ。

自分が使い易いと感じれば、それで完成する世界だ。当然、ベトナム工場には、計測する機械は無い。本来ならば、科学的に計測し、重量配分などを考慮して作る重要なパーツだ。

無印良品が背負いやすい、疲れないショルダーを作ったが、基本的な仕組みは10年以上前からあった。開発現場では、当たり前過ぎて、もっと先に進んでいた。

日本では作りづらい、ショルダーストラップ。

日本では、スポンジ入りのショルダーストラップ作りは簡単では無い。カバン工場では嫌がる工場が多数ある。慣れの問題だが、ミシンの調子が狂うとの事だ。

スポンジを入れる時、滑らないので難儀する。ベトナムや中国工場では、一日中、ショルダーストラップのみ作る生産ラインがある。いとも簡単に作っていた。慣れとは恐ろしいものだ。